はばねろちゃん がんばる絵日記!

意味もなくがんばります

「秒速5センチメートル」が嫌いな自分との葛藤

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 スマホペンが壊れたので人差指ペンに逆戻り

 

 決して炎上目的ではない、もとい、炎上するほど読者があるわけではないのでここでこれを書いておかなければなるまい。好きな映画は何度も見直し、その行間にある意味さえもひとりで妄想しがちなめんどくさい性格の持ち主の自分。「ルパン3世カリオストロの城」おもしろいよねーと言っている横では、その映画の内に秘めた矛盾を人知れず心の中で反芻を繰り返す。また「2001年宇宙の旅」の解釈をするときには「2001年シリーズ」の映画と小説をすべて読んでから判断するというちょっとめんどくさい方法をとりがち。なぜなら、批評批判をするという行為は賛否どちらからも批判されがちであり、どちらの批判にも耐えうる理論武装が必要だからである。娘たちのように2進法判断で「おもしろかったねー」「つまんない」ということだけではもったいないのである。映画のチケット代が。だからさらに投資をしてトータル的に元を取る。たとえ理屈っぽいと妻から言われようとも。

 

 こんなに映画愛にあふれている私だが、新海誠監督の「秒速5センチメートル」は一度だけしか見ないし、今後も見たいとも思わない。つらいのだ、見るのが。

 決して新海監督の映画(アニメというランクではなく広い映画というジャンルで)を見ていないわけではなく。初期作品「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」については環境ビデオさながらに何度も鑑賞していたわけで、年上の女性好きらしいところはアレとして、あの不思議な雰囲気と独特のストーリー解釈をして楽しんでいた。それなのにである。

 

 「秒速5センチメートル」の内容については多くは語るまい。3部作の1時間弱のかなり映像的に詰まっている作品であり、新進クリエイターとしてはかなり資金が投じられたのであろう。

 

 第1部の「桜花抄」はウエブにて公開した時が初見。小学校の頃の恋の話。小学校卒業とともに近県へ引っ越す少女A。中学で文通を重ねるが、主人公の親の転勤のために種子島へ行くことになる。これで最後になるかもしれないと察した主人公は少女Aに会いに行くという話。よくある話である。しかし、これがたぶん少年少女さらには大人の心をも揺さぶる結果となる。しかし、地方に住んでいるものとしては限られて映画館での上映に駆けつけることはできずにDVDの発売を待つことになる。

 

 第2部「コスモナウト」はDVDで見た。青春である。青春過ぎて泣いた。東京から種子島に来た主人公と現地の同級生との物語。少女は主人公のことが好きであるが主人公には好きな人がいるらしい。それも遠くに。どこにいるのだろう。主人公はメールを浴しているが、実は送信を押していない。それが何かの隠喩であるような気持になる。それをわかっていながら主人公のことを今後も忘れない、というよくある話。青春時代としては甘酸っぱく、おじさん的にはカシスオレンジハイ的な酸っぱさである。

 

 第1部と第2部に比べて第3部「秒速5センチメートル」尺的に10分ぐらいとみじかかったような気がする(1度しか見ていないから)。しかしながら、自宅のリビングで第1部、第2部と泣きながら見ていた私を奈落の底に突き落とした。「ええー?」と本当に声をだして驚いた。主人公は東京で就職、彼女もできたが、妙に上の空で彼女とは別の存在を見ている。少女Aのことが忘れられない。いい話だ。そこまでは。第2部「コスモナウト」の、メールを送信した振りをするシーンを見たときに「実は少女Aは死んでいて、それでも忘れられない主人公が、遠くへ行ってしまった少女Aの今は届かない携帯へメールを送るふりをしているのでは」とおもったのがだ、それはミスリードであり、少女Aは高校時代も彼氏がいて、現代においては結婚間近でそこそこ幸せそうだったのだ。

 

 この映画のストーリー、とくに第3部「秒速5センチメートル」は男にとってはよくある話なのである。男にとっては。片思い、または前の彼女のことが忘れられない。別の女性と結婚したとしてもなんか思い出される前の彼女のこと。前の彼女は別の男性と結婚していて子供もいることは風の便りで聞いているが、街を歩いているときに不意にばったりと出会ってしまうことがあるのではないか、期待しつつかといいって期待もしないどうしようもないバカな男の心情をこの「秒速5センチメートル」は恥ずかしくも投影していた。この映画に描かれている状況は自分の若いころ、いや、DVDを初めて見たときに自分の内心の情動と同じだったのだ。あああー俺だよこれ、恥ずかしい。こんなこと妻には言えない。

 

 という理由で、男の実体験を投影しているこの映画は二度と見たくないなあ。自分の心の傷を見せられるのを良しとする男なら耐えられるだろうが、私はだめだ。この映画を初めて見たとき、DIO様に不意にキスをされて「ズキュウウウン」となってしびれてしまったような感覚になってしまった。あーどうしよう、もう一度見たいのに。

 

 ふう、心を解き放ったら楽になった。冷静に映画を批評しようか。この記事を書くに際してwiki 的なものは見ていないのにも関わらず、あの1時間の中の情景はすべて思い出すことができるほど、映像並びに構成は素晴らしいものだ。自分じゃなかったら1見の価値ありだと思うが、見る勇気はあるか?

 

 

 

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