昔、NHKの名画劇場で見たキュリー夫人の映画はこんなにも波乱に満ちた物語ではなかった。この漫画は子供の頃の描写から始まっているが、映画では主人公であるマリーと後で夫となるピエールとの、歩きながらの数学談義で始まったかと覚えている(ちがうかもしれない)ああ、天才とは歩きながらでも数学の話ができるのだなと子供の頃思ったものだ。その映画を思い出しながら読んだのがこのキュリー夫人の生涯である。
ちなみに映画はキュリー夫人が夫の死後、科学界の重鎮となって講演を行うシーンで終了する。映画の古さからして、まだまだ放射能の影響はわからなかった時代に作られた映画だったろう。
また、この漫画を読もうと思った動機として、この漫画を書いた谷口敬という懐かしい名前が目についたからだ。高校の頃、漫画は読まないけど漫画評論ばかり読んでいたときに谷口敬の1ページ漫画がよく差し込まれていた。長編というか短編さえ読んだことはないが、名前は覚えている。1ページ漫画(数ページあったかもしれない)に作者自身がでてきて「今年は何もしたくないんだよねー」という、どうでもいい台詞だけはしっかり覚えている。たしか「漫画の手帳」とか「コミックボックス」の常連さんだったような。
こんな漫画を書いていた人だとは思わなかった。てっきりロリコン的な漫画を書いているものだと思った。その当時はかわいい系の絵を描く漫画家さんは総じてロリコン系とよばれていたような。あの「失踪日記」の吾妻ひでおなどと一緒。不遇の時代だ。
まあ、この記事を書く直接の原因は、この漫画の最後の参考文献に萩尾望都の名前があったからだが。
ああ、ちょっと青春の思い出。