自分の興味の示す方向は一般人とは違っているようだ。たとえばアイドルに興味があるならばアイドルその本人の事がきになるはずであるが、私は周辺知識、その業界がどのような構造になっており、アイドルがどのようにデビューし、裏で何がうごいているか、いわゆる週刊誌的な下世話な興味である。最低である。
現在ではテレビ録画といえばHDDレコーダーなどを連想するであろう。しかし私の場合はVHSやベータといったアナログ録画機の時代である。その頃は子供であったのでアナログ録画機が家にあるわけでは無かった。最後には無理矢理買ってもらった訳であるが、その頃でもとても高価であった。iPhoneが1台10万円超えるという話があるが、アナログ録画機に比べればそんなの比較にならないくらい安い。録画できる時間は1つのカセットで2時間、長くて6時間である。ちなみにうちにあるHDDレコーダーの録画可能時間はゆうに100時間を超える。カセットの追加購入もいらない。昔のほうがお金がかかったが、その分経済が市民レベルで動いていたのである。
録画したい番組などにも興味があったが、録画機の構造、どうやって録画できるのかという中身の話のほうが好きだった。天板を外すとヘッドと呼ばれる高速で回る部品が、テープが斜めにかかる形で録画する。いつの時代もメカは男の子を魅了する。ベータの不振のためソニー野業績不振が社会問題になったくらいで経済にとって重要な役割を持っていた。このVHSとベータが時代の経済を牽引していたのである。昔は何でも高価であったが、それぞれに魅力があった。どうでもいいことだが。
自分の中で白箱問題と読んでいる事がある。何年か前に「Shirobako」というアニメが放映された。アニメーション製作の舞台裏を描いた作品であるが内容は言わなくてもわかるであろう。私はこの作品を懐かしーという感じで見ていた。別にアニメ制作に携わっていた訳ではなく、アニメ同人活動などをしていた訳ではない。アニメがどうして動くのかから始まり、業界の事、作家的なアニメの作り手(若い頃の宮崎駿とか)の動向を注視していたのだ。アニメは原画を書いてから動画を作り、色を塗り、それを光学的にフィルムに転写する。それを何万回と繰り返して音と効果を付けて一つの作品として上映される。昔も今も薄給である。生活ぎりぎりというか生活できないその日暮らしのような活動をしている人たちはどうやってそのモチベーションを維持し、絵を描き動かし上映される作品を作り出すのか。金はどう動いているのかなど、多分アニメ好きの人の話題には入って行けなそうなことにばかり目が向いていた。アニメ好きな友達とも壁があった。

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また、その製作方法と作品の作るギャップにも興味がある。「超時空要塞マクロス」というテレビアニメがあった(いまでも続いているが)。とても緻密な絵を売りにしているアニメで、エヴァンゲリオンが出てくるまでSFロボット的なアニメのなかでは自分の中では1番の出来であった。映画版も何十回と見たものである。ビデオデッキを持っていたからな。しかし、そのSF的な描写、宇宙の動き、すべてが人が鉛筆で描く絵と絵の具で描いた背景、光学的な処理でフィルムに記録されている。とても未来的な作品だとしても、作っている現場はとても手作り感が半端ないのである。そのギャップは興味を持つのに十分すぎる。宇宙ロボットものなのに手作り感半端ねえぜってね。そそるぜ!製作が自分たちのパッションなり情熱で作品を作り出していた。
現在では、アニメ業界の労働環境の改善要求やデジタルによる製作体制への移管などがあり超SF的な作品は超デジタルな環境で作られているので出来て当たり前のようで昔ほどの興味はなくなった。デジタルなら出来て当然だろうな。絵の線などはきれいになったしロボットや建物、背景などはちょとした作品でも3Dで出来ている。そうすると別な意味で制作側へのプレッシャーも高くなるであろう。より精細で緻密な作品を求められる訳だから。そうして作った作品だとしてもヒットは確実ではない。そこは昔も今も変わらないか。
つい最近までは、背景や構造物、ロボットなどは3Dで対応できても、人物だけは不気味の谷問題があったために手書きであったが、今では人物も3Dで行けるし3Dであってもトウーンシェード処理でアニメ調に換えられる。すべて3DでOKであるとすれば、話さえ作れれば日本で作る必要はなくなる。萌えにばかり頼っていると10年後この業界はなくなってしまうかもしれない。作家的な監督、原画マン、その他スタッフの醸成は数(業界の人数)により決まって来る。この業界を守りたかったらもっと金を使え、それしか無い。
「銀河英雄伝説」が再アニメ化される。予告的な映像をちらりと5秒ぐらい見たが、期待できるようである。旧作は100話を超える壮大な宇宙戦争の物語だが、とても手間のかかる手作業で作られている。それを牽引するのはあの重厚で壮大なストーリとキャラクターの個性である。そのギャップが楽しかった。新作はフルデジタルであろうから何でも出来て当然である。話ももう知っている。そこを乗り越えてどう演出していくのであろうか。