夫婦とふたごとネコ一匹

家族で起きた事件(?)を基に四コマ漫画を描いています。

退職金制度が継続雇用のモチベーションにならない問題

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今回は地味な話である。困ったことに単なる愚痴だ。

 

 自分の担当ではないが、人事関係の稟議書を見ることが時々ある。たまに回覧されてくる。驚くほど多くの職員が入職し、いつしか退職していく。私たちが人買いと呼んでいる派遣業者の電話は毎日のように鳴り響く。こんなに医療系の派遣業者があるのかと驚くほどである。うちの病院はグループ企業ということで共済制度や福利厚生はしっかりしている方だと思う。夜勤がある職場の場合は制限はあるが、勤務上仕方がない限りは有給もすんなり通る。他の病院のブラック職場ぶりをみるにつけ、自分のところはマシなほうだと思う。井の中の蛙かもしれないが、それもこれも本当ならば職員に長く定着して働いてもらいたいからである。正規職員登用も進めていて約9割は正規職員である。それなりに人件費はかかるが仕方がない。大きな組織を継続してさらには発展させていくためには必要な経費だ。現場に働く職員に多く給与を払いたいという一念である。しかしながら、それでも退職者がいない月はない。退職する理由は人それぞれであろうが、ただ「一身上の都合」としか書いていない、また、当人達に聞いてみても本当の理由は話してくれない。理由がわからなければPDCA的な離職防止の対策を取ることができない。理由がわからないまま退職者が発生する。なすすべがない。

 

 新たに入職者がいるからいいというわけではない。経験者だとしても職場にすぐに順応できるわけではないし、最近の入職希望者は夜勤をしたくないとか時間の希望が多くこちらが希望する働き方をしてくれるとは限らない。当然だ。皆技術職であり他の病院に就職してもちゃんとやっていける。またこのご時世、どこの病院も入職ウエルカムだ。何を考えているのか知らないが退職して数ヶ月で戻ってくる職員もいる。退職した時は他の芝生がよく見えたのであろう。他の病院に就職したが、契約形態が臨時職員待遇だったり夜勤の回数がとんでもないということで戻ってくる。戻ってくる理由が気軽すぎる。舐められたもんだ。しかしながら、背に腹は変えられないので採用するが、転職歴が多い職員ほどすぐやめる。どうどうめぐりを続けていく中で未来は見えるのであろうか。

 

 現在退職金制度が課題となっている。うちの病院は外部の積立制度を使っており、就職とともに他の福利厚生制度とともに退職金積立を始める。総務担当者は毎月のように入職手続きを行い退職金積立の手続きを行う(また、これと反対の作業を毎月行う)。毎月数百人いる職員の退職金積立金を積立会社に送金をしている。退職金積立金額を管理し送金を行うだけでも大変だ。作業はしくみ化しているためにひと昔からすれば作業そのものは格段に少なくなっているが、毎月の職員の増減を確認するだけでも手間は大変である。その作業は別な職員の作業といえども毎月その手間隙のために一人の職員は貼り付け状態であれば経費削減の策を探らずにはおれない。

 

 人事データを抽出、一元化して分析を行う(といってもEXELのVLOOKUP と ピボットテーブルを使っただけだが)と面白い結果が出た。まず、3年間の離職率が高い。医師でさえそうである。反対に長くいる職員は本当に長い。年齢分布は平均化しているが新人も中途採用でも多くが3年で辞めてしまうのである。3年ってなにかあるのか?って思うわけだが、特にうちの病院に限ったわけではないと思う。他の病院の事務長と話す機会があったが、どこもそんな感じらしい。どうりで職員の名前と顔が一致しないわけだ。一致しないのではなくいなくなっているだけなのだ。がーん。

 

 もはや福利厚生、特に退職金制度がどうこう言っていること自体がもはや恥ずかしくなってくるくらいの体たらくである。退職金制度は労使折半で積立機関に支払う管理手数料はバカにならない。バカ高い管理手数料のせいで積立て運用益が出るのは10年目からである。そこで出た策がこうだ。3年間は退職金制度に加入できないが、4年目からは加入する権利を得られる。その変わり4年目の始めに3年分の退職金を一括で積み立てる。外部にするか内部で積み立てるかはこれからの検討。4年以上勤務する職員のそれ以降の定着率は高いことはデータが示している。

 

 多くの職員にとって潜在的には役に立っていない退職金制度について、今一度検討を要するが、かといって今後入職する職員は4年目まで退職金がないという制度設計は多少リスクはある。求人票に退職金有りと書くか無しと書くかは大きな違いである。しかし実際には、遠い未来に貰える退職金よりも賞与があるかどうかなど近視眼的な希望が多いことは肌で感じている。就職希望者が見るのは賞与が何ヶ月出るかである。福利厚生ありと書いても具体的な内容を説明するのは就職が決まった後である。残念ながらもはや福利厚生は就業先を選ぶ上でのモチベーションにはなりえない。福利厚生制度で就職希望者が集まるわけではない。だから賞与が何ヶ月かのカウント方法について、詐欺的な手段に打ってくる病院が出てくる。これについては別な機会に書くかもしれない。是非とも今後就職希望者にはあまり退職金制度に魅力を感じてもらいたくないものだ(表現が変かも)。困ったものだ。

 

 職員定着や色々な意味で金をかけて導入してきた退職金制度などの福利厚生制度のために病院が破綻して行ったのでは話にならない。とにかく退職金制度の見直しは待ったなしだ。他に継続雇用のモチベーション向上につながるようなアイデアがあればいいのだが。

 

 この懸案のおかげでブロクを更新する時間が足りない。絵もやっと描けるぐらいの時間しかない。プライベートに影響するような働き方はいやだ。