子供の成長は親にとって嬉しい限りだ。これが男の子だったら糸の切れた凧さながらに自由に泳がせても心配はない。困ったことにうちの子供は揃って女の子だ。何か変わった行動があった日には心配してビールも喉を通らなくなるかもしれぬ。いや実際にはビールが喉を通らないことはないが。
私たちの年代から思い浮かぶ不良のイメージはヤンキーに金髪で夜の街に繰り出す姿だろう。悪い友達に何か吹き込まれたり、どこかに連れまわされているのではないかと心配になる。しかし今の子供たちに関して言えば、どんな感じが不良のイメージとなり得るのかが思い浮かばない。双子の姉の咲ちゃんを誘う友達は果たして不良だろうか、それとも単に連れ立って遊びに行くお友達なのだろうか。昼間ならいい、昼間なら。夜は絶対だめだ。不良決定!映画館で映画するぐらいならいいかもしれないが。では、誘われるのが早朝ならいいと言えるのだろうか。それも朝7時の電車に乗って街まで繰り出す。朝7時台の街に何があるというのだ?
双子の妹の藍ちゃんにそれとなく聞いてみたところ、謎はすんなり解けた。咲ちゃんは友達と連れ立ってモーニングを食べに行っているらしい。モーニングといえば咄嗟には雑誌ぐらいしか想像できない私であるが、雑誌以外のモーニングが喫茶店の朝食であるということぐらいわかる(あと、朝の挨拶)。モーニングといえば OL さんの朝食というちょっとオサレな雰囲気と想像してしまうが、女子高校生が土日の朝に繰り出すイメージではない。今時のJKの行動は奇想天外だ。いやモーニングぐらい今時のJKの嗜みとして通ってしかるべき行事だとでも言うのだろうか?
モーニングを食べに行っていることはわかった。まあどんなものかはわからないがパンケーキとコーヒー、それから天むすがついてくるという名古屋のモーニングをイメージすればそこそこ正解なのかもしれない。それはそれで美味しそうだし許せる。しかし、問題はまだ残っている。だいたいにして、その友達が女子だという断定はできるのか?もしもカレシー的なあれだったらどうする?朝からデートか?これは藍ちゃんには訊けない。怖い。たとえ藍ちゃんがそれとなく喋ったとしても耳には入れたくない。お願いだからあまりドギマギさせないでくれよ、咲ちゃん。