日本交通公社(現JTB)の社員が主人公の小説があった。高杉良著「組織に埋もれず」だ。小説の冒頭から阪神淡路大震災の災害ボランティアに参加するところから始まる。その頃ボランティアという行為はまだ新鮮で「へーこういう人もいるんだー」ぐらいでしか思っていなかった。それが月日が経ち東北でも大きな震災があり多くのボランティアを受け入れた、いや、来ていただいた。
天災が起きた時にはボランティアが復興の重要な担い手となる。が、今回の豪雨災害は被害面積が広くボランティア組織として受け入れが難しいと思った。ボランティアとして参加するほうとしてもどこに行けばいいのかわからない。とにかく仲間数人で数日でもいいから現地に飛び込んだ。病院組織のボランティア基地があるところで登録して乗り込んだ。しかし、毎日40度にもなる暑さにやられてしまった。デスクワーク中心で涼しいところで毎日仕事をしている身としては暑さだけではなく急激な肉体労働はどだい無理があったのだ。現地の人たちにはかえって迷惑をかけてしまったようだ。
家族には何しに言って来たの?と散々な言われようだった。自分でも知りたい。7年前のあの夏も暑かった。津波によって破壊された缶詰工場から流れ出た魚が夏の暑さで臭り、さらには蛆がわいた。その記憶があったから早く助けてあげたかった。たとえすでに事切れていたとしても。